日蓮聖人のお言葉一日一訓
10日 信心の涙
しょ ほうじっ そう しょう
諸 法 実 相 抄 にいわく
     だいなん                       
 現在の大難を思いつづくるにもなみだ、未来の成仏を思うて喜ぶにもなみだせきあえず。鳥と虫とはな(鳴)
                                           こ                 あら     ひとえ
けどもなみだおちず。日蓮はなかねどもなみだひまなし。此のなみだ世間の事には非ず。ただ偏に法華経の
      も         かんろ
故なり。若ししからば甘露のなみだとも云つつべし。

  法華経をひろめてこの国と人びとを救うためにうけている現在の大難は、法華経を身に読んでいるあかしなのだと思いつづけるにつけても涙をうかべ、法華経によって仏になる道を歩いていることによって未来には必ず仏になれると思って喜ぶにつけても、涙はとどまることなく、次々にうかんでくる。
 鳥と虫は鳴いてはいても、涙をおとすことはない。日蓮は泣かないけれども、涙をひまなくこぼしている。この涙は、世間のことを思ってこぼす涙ではない。ひとえに、法華経のためなのである。そう思うならば、甘露のようなすばらしい涙ともいうべきであろう。


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