召し取り


鎌倉で再び逮捕される

 松葉が谷夜襲や伊豆流罪など、聖人暗殺を影から指示していた良観は、雨を降らすことができなかったことで、負けを認めるどころか、かえって怨みを深め、表面だって動き始めました。
 法律を守るべき役人も、生き仏とまでいわれた人には逆らえず、法に従わず人に従って動き、体裁を保つため、一応は日蓮聖人の意見を聞くという形をとったものの、九月十二日には、平(へい)の左衛門頼綱を先頭に、多くの兵士が戦に行くようないでたちで草庵に押し掛け、なぐるけるの暴行を加えたうえ、お経本を破り、家中をかきまわしました。
 逃げ隠れもしない聖人たった一人を逮捕するにしては、あまりにも派手なことですが、これは幕府の権威を鼓舞する思いと、鎌倉中に日蓮聖人がいかに重大犯罪人であるかを宣伝するねらいがあったのでしょう。

御遺文を読む


祈雨 絵で読む日蓮聖人のご生涯 龍口法難
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