日蓮聖人のお言葉一日一訓
3日 菩提心
まつ の どの ご へん じ
松 野 殿 御 返 事 にいわく
 うお                           あんらじゅ              み                またかく
 魚の子は多けれども魚となるは少なく、菴羅樹の花は多くさけども菓になるは少なし。人も又此のごとし。
ぼだいしん おこ            たい      まこと    い                ぼんぷ ぼだいしん   あくえん
菩提心を発す人は多けれども退せずして実の道に入る者は少なし。すべて凡夫の菩提心は多く悪縁にたぼら
      こと       うつ           よろい き   つわもの        たたかい おそ
かされ、事にふれて移りやすき物なり。鎧を著たる兵者は多けれども、戦に恐れをなさざるは少なきがごとし。

 魚は子を多くうむけれども、そのまま魚となるものはすくない。なつめの木には花は多く咲くけれども実になるものは少ない。人もまた同じである。菩提心をおこして、み仏の悟りをえようとする人は多いけれども、一歩もしりぞくことなく、ひたすら菩提心をつらぬいて、真実のみ仏の道に入っていくものは少ない。すべて、凡夫のおこす菩提心は、悪縁にだまされひきずられて、事にふれて移りやすいものだからである。鎧をつけたつわものは多いけれども、戦に恐れをいだかないものが少ないようなものである。


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