暮れなずむ岩原スキー場

平成26年〈12月〉

ゲレンデに興奮残し駒子の湯
俳句のコメント

 「ゲレンデに興奮残し駒子の湯」

 スキーは、小学校の頃(古里・秋田市)は近くの城趾跡の千秋公園でゴム長靴のスキーを楽しんだ。中学からはスキーをする機会がなく育ち、会社に就職してからようやく待望のスキーを再開、冬の楽しみは専らスキーとなった。

 若い頃は、蔵王、志賀高原、八甲田山等で遠征スキーを楽しんだが、歳を取ってからは何と言っても東京から一時間で行ける越後湯沢が手軽なスキー場となった。『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった・・・』で有名な川端康成の小雪「雪国」の舞台となったいわゆる越後湯沢である。

 ゲレンデのすぐ下に温泉宿がある岩原スキー場にいつも泊まっていたが、ある年その宿が満員のため温泉のない宿に泊まった。一晩だけ宿のマスターが湯沢町にある温泉場を車で案内してくれると言うので、温泉街と温泉宿のいくつかある銭湯から、小雪「雪国」を思い出し「駒子の湯」を選んだ。

 小説の土地の芸者・駒子と島村の物語りを思い出しながら、昼のスキーの興奮そのままに程よい湯加減の温泉に浸っていたことを思い出してこの句を詠んだ。




平成21年2月22日〜24日 岩原スキー場にて  筆者(土屋 博)