「クレマチス」  撮影 土屋 博

平成25年〈6月〉

クレマチス水に浮かべて江戸切子
俳句のコメント

 「クレマチス水に浮かべて江戸切子」

 5月、6月になるとクレマチスが葉の付け根から長い花柄を伸ばして、白や紫の大型の花を咲かせる。花が大きくて落ち着いて品のある大好きな花の一つである。毎年、クレマチスの花の咲く頃を楽しみにしており、朝起きると真っ先に庭に出てこの花を見る。

 クレマチスは蔓性であるが、アサガオと違って葉柄という部分を絡ませながら(枝)を伸ばしていき、絡ませながら成長していく性質が魅力でもある。クレマチスは多年草で茎は冬でも枯れず、鉄色で針金のように見えるので「鉄線花」または「鉄線」とも呼ばれている。

 庭の中で鑑賞したい存在感のある花であるが、切り花として家の中でも飾ってみたい誘惑にかられた。
 家で飾るとすればどのような花瓶(グラス)が一番相応しいか考えてみた。

 まず浮かんだのは、東京の伝統工芸品である「江戸切子」であった。江戸切子は彫琢または切込みを施したクリスタル・ガラスで、皿、グラス、花瓶、置物などがある。江戸切子は私の手元にはないが、以前結婚祝の品を探しにデパートで見た江戸切子の品々が強く印象に残っており、庭のクレマチスを見ているときにこの句ができた。





撮影  土屋 博