平成25年〈2月〉

鱈買って引きずって行く雪の上
俳句のコメント

 「鱈買って引きずって行く雪の上」

 青森時代を思い出して詠んだ句です。
 真鱈は、1メートルを超えるほどに成長する大きな魚です。しかもすべて食べられ無駄にするところのない魚です。

 青森では冬になると、どこの家も鱈を一匹買って縄で縛って、雪の上を引きずって家へ持って行くのです。

 鱈の身は、昆布締めが特に美味しく、白子(オスの精巣)の紅葉おろしは絶品でした。魚を三枚におろして、残った頭や内臓と身のついた骨の「雜把」を野菜と加えて煮込む。この煮込み鍋を青森では「じゃっぱ汁」と呼んでおり、どこの家でも食べている。

 子供たちが冬休みに二人で青森に来たとき、一匹は大きくて買えないので、「じゃっぱ汁」用の雜把を一山買って来て、家で「じゃっぱ汁」を料理して腹一杯食べたことを思い出した。これは、冬の青森の風物詩といえる。30年経って車の発達した今はどのようになっているか極寒の青森へ一度行ってみたいと思っている。