撮影  土屋 博 

〈12月〉

りんご剥く母ありし日を懐かしむ
俳句のコメント

 「りんご剥く母ありし日を懐かしむ」

 今から30年前、私が青森市内に勤務の時に「りんご農家」の方と知り合いになり、それ以来毎年収穫したばかりの新鮮なりんごを送ってもらっている。
 収穫を終えた冬期間はそれほどの農作業も無く、雪が降ると会社の敷地の雪掻きを手伝ってもらっていた。

 今年も「りんご」が届き、早速仏壇にお供えしてから「りんご」を剥いていると、突然、母のこと、また小学校時代のことを懐かしく思い出した。

 食べ物、着る物は乏しかったがそんな生活が当たり前と思って、弱音も吐かず暮らしていた時代であった。その中で、秋田も「りんご」を生産している農家があったので、りんごは比較的食べることができた。

 りんごを剥く母を我々6人の子供が炬燵に入って、母のりんごを待っている風景を思い出していた。

 戦後の苦しい時と較べて平和でモノノ豊富な今は、誠、幸せの一語につきる。しばらくは「りんご」を楽しむこととしたい。