仙台閖上・貞山堀付近  土屋 博 撮影

〈10月〉

津波受けし貞山堀の月荒(すさ)む
俳句のコメント

 「津波受けし貞山堀の月荒む」

 今年9月に仙台で会合があった。仙台は学生時代とその後勤務で住んでいたなつかしいところである。今回は会合の前に友人の好意で、仙台と石巻の被災地を少し案内してもらった。

 俳句にある「貞山堀」は、仙台湾に沿った運河で、伊達政宗が居城を岩出山から仙台に移したときに多くの木材を運ぶために掘った運河である。政宗の贈り名「貞山公」にちなんで後に「貞山堀」と命名されたと聞いている。

 貞山堀には近づけなかったが、学生時代に度々訪れた思い出のある場所であり、津波を被った貞山堀を思いこの句が出来た。

 貞山堀の地域も皆様ご存じのとおり津波で家はほとんど流され、残った家も骨組みのみで、瓦礫は整理されていたが、改めて巨大津波の威力に圧倒された。一方、石巻は高台の日和山公園から津波の惨状を目の当たりに見て、山と積まれている瓦礫の多さに被害の大きさを実感した。

 会合の後、東日本大震災にて犠牲となられた多くの方々へ哀悼の誠を捧げ、被災を受けた人びとの一日も早い復興を祈り、帰路に就いた。





仙台閖上・車からビデオ撮影の一コマ



石巻日和山公園より