箱根からの富士山 撮影:土屋 博氏

〈1月〉

初富士に大きな心貰いけり
俳句のコメント

 「初富士に大きな心貰いけり」

 秋田を出てから東京の生活が最も長くなった。およそ半世紀の中で、いろいろな機会に富士山を眺めることとなった。

 富士山は、晴れていれば関東一円、静岡、山梨からその雄姿が望める。何処から眺めても魅力的で印象が深い。また、新幹線の車窓、山中湖、河口湖、そして飛行機からの眺めは格別である。

 箱根側から1月の澄み切った富士山を望んだとき、裾を長く伸ばして堂々とした姿を見てその気持ちを詠んだ。
 富士山山頂へは登れなかったが、6合目までは仕事で登ったことはあった。5合目までは草木が茂っているが、高くなるにつれて樹木は低くなり、5合目を過ぎると土と岩石の山肌となる。

 富士山には「別の顔」があった。富士山を眺めていたら、どーん、どーん、と低いけれどしっかりした音が聞こえた。この音は富士山麓の原野と山林に広がる自衛隊(米軍)演習場の大砲の音であった。『春霞破る北富士演習場』はその時に詠んだ句である。