中央街区はなぜ重要なのか

一、(1)ここ十数年の間、全国的に中心市街地の衰退が一層加速した。DID(人口集中地区内の人口密度)も下がっていき、さらに公的、準公的基盤施設の郊外移転により都市機能が拡散し、中心をもたない無機質な空間都市になってしまう現象がおきている。この傾向に歯止めをかけるか否か、今全国的にこの中心市街地空洞化対策が問われている。

(2)このまま自然の流れと甘んじて受けいれ、地域社会が歴史的に育み、誇りと親しみをもって維持してきた都市の解体、単なる無機首な都市化を容認するか。それとも数百年の間に積み上げてきた街の空間を経済力と近代技術を持って再生するという基本的な問い掛けである。

二、(1)先日(06.3.23)発表された国土交通省の公示地価によると、秋田県の商業地は平均10.1パーセントの下落率で、2年続けて全国最大となった。特に秋田市のJR秋田駅周辺は昨年秋にシネマコンプレックス(複合映画館)の閉鎖に続き、イトーヨーカ堂の撤退問題など暗い話題が続いた。同店の場所は県内最高価格地点だが、13年連続の下落(今年も17.4パーセント下落)でピークだった1993年の6分の1以下の価格となった。秋田市の大幅な下落は結果的に周辺都市にも波及していることになる。さらに深刻な問題は、中央街区の空洞化が進めば進む程、人口の県外流出が加速するという事実がある。

(2)この事実は、適切な中心市街地空洞化対策がいかに重要かということ、地方都市は地域特性や歴史文化を最大限に生かした街づくりに全力をあげないと、地価は下げ止らないということである。(日経新聞 06.3.24)

三、(1)それではどのような対策をとるべきか。最も現実的なアプローチは「都市居住の回復」である。街への人戻し政策である。それも街としての複合性をもち、建築物の利用形態が時間の経過で変化しても、それに耐えられる街づくりをすること。そのようなプロジェクトを実現するためには行政と民間が一丸となった総合的な取り組みが必要だ。
 具体的には公共的な施設をまちに戻すこと、行政の基幹施設は勿論のこと、その他の公的施設も自らの指導のもとで立地が定められ、建物を極力街の中へ戻す政策が必要だ。行政の基幹施設が街中へ戻れば、それに従って商店街も自然に張りつくのは明らかである。
 たとえば昔からの城下町、門前町を思い浮かべれば分かる。

(2)さらに少子高齢化社会の進展で公共交通網、インフラ整備の充実など利便性の高い中心部に人が還流する現象が生じる。この傾向をさらに加速させるのは、国土交通省がシャッター通りに象徴されている地方中心部の衰退を受け、大規模商業施設や病院などの公共施設の郊外立地を規制する「まちづくり法」の改正を決定。今通常国会に提出、07年にも施行される見通し。
この規制強化を急ぐ背景には郊外拡散に伴う国、地方自治体の費用負担の重圧、少子高齢化など、中心部に生活の場を集中し、人を呼び込む街づくりを目指すということ。

(3)さる06.2.27日赤婦人会館跡地等の準備組合は公共施設を含めホテルや高層マンション、商業施設を建設する事業計画議案をまとめた。この計画議案は評価出来るが、しかし、公的施設として歴史文化施設のみでなく、行政の基幹施設の移転をも考慮に入れ、医療や福祉、教育、住居など多彩な目的に答える機能を持つ複合的な施設を考えるべきではないか。
この方向で再開発事業が実施されれば、中央街区再生に大きな前進となる。